マーケティングコラム Column

社内でSNSを運用するときの進め方。始める理由からKPI・投稿本数まで

SNSを社内で運用する。この形には、この形に合った進め方があります。現場の空気も、商品の背景も、社内の人がよく知っている。その距離の近さをどう活かすかが軸になります。

ただ、勢いだけで始めると3ヶ月で止まります。ここでは、社内でSNSを運用するときに、始める前に決めておくことから、追うべき数字、媒体ごとの投稿本数までを順番に整理します。

なぜ自社でSNSをやるのか

広告と比べたときの、いちばん大きな違いは資産として残るかどうかです。

広告は、出稿を止めた瞬間に流入もゼロになります。一方でSNSのアカウントは、投稿が積み上がるほど過去の投稿からも人が来ますし、フォロワーという形で接点そのものが残ります。半年前に出した動画が、いまも毎日再生されている、ということが普通に起きます。

もうひとつが、その場にいるからこそ撮れる素材があることです。厨房の様子、作業の手元、担当者が普通に話している場面。こうした瞬間は、日常のなかにいる人のほうが拾いやすい。思いついたときにすぐ撮れる機動力も、社内運用の利点です。

そして、顧客の反応が直接見えるようになります。どの商品にコメントがつくか、何が保存されるか。これは商品開発や店頭の判断にもそのまま使える情報です。

SNSから得られる効果は「売上」だけではない

効果を売上だけで測ろうとすると、たいてい途中で「意味がない」という結論になります。実際には、次の4つが同時に起きています。

  • 認知:これまで接点のなかった人に届く。とくに検索されない商材では、ここがほぼ唯一の入口になる
  • 信用:検討中の人が「この会社は大丈夫か」を確かめに来る場所になる
  • 指名:名前で探されるようになる。ここまで来ると、広告費をかけずに人が来る
  • 採用:働く場所を探している人も、必ずSNSを見る。求人票では伝わらないことが伝わる

とくに過小評価されているのが2番目です。紹介を受けた人も、名刺を渡した相手も、あとで必ず調べます。そのときSNSが動いていないと、それだけで判断材料が減ります。逆に、更新されているアカウントがあるだけで安心材料になります。

始める前に決める3つのこと

1. 目的をひとつに絞る

認知、集客、採用、既存顧客との関係維持。どれも大事ですが、同時に狙うと投稿の内容がぶれます。最初の半年は、ひとつに絞ってください。

絞ると迷ったときに判断できます。「これは目的に効くか」で決められるからです。

2. 誰に届けるかを決める

全員に向けた投稿は、誰にも刺さりません。年齢、性別、地域、いま何に困っているか。ここまで具体化しておくと、企画が出やすくなります。

「新潟県内の30代女性で、子どもの習い事を探している人」くらいの解像度があれば十分です。

3. 担当者と時間を確保する

いちばん現実的で、いちばん軽視されがちな項目です。撮影・編集・投稿・コメント返信を合わせると、週2〜3本でも週5〜8時間程度はかかります。

この時間を業務として確保しないまま「空いた時間でやってね」と任せると、まず続きません。担当者を決めるだけでなく、時間を渡すところまでがセットです。

KPIの置き方

先に結論を言うと、フォロワー数をKPIにしないでください。フォロワー数は増やそうと思えば増やせる数字なので、そこを目標にすると、目的と関係のない施策に流れます。

見るべき数字は、時期によって変わります。

立ち上げ期(1〜3ヶ月)

  • 決めた本数を投稿できているか(継続そのものが最初のKPI)
  • 平均再生数・平均リーチ
  • 視聴維持率(最後まで見られているか)

この時期は、成果より「どの切り口が反応されるか」を見つける期間です。数字の絶対値ではなく、投稿ごとの差を見てください。

定着期(4〜6ヶ月)

  • 保存率(役に立つ情報だったか)
  • プロフィールへの遷移率(次の行動につながったか)
  • フォロー率(今後も見たいと思われたか)

反応の質を見る時期です。再生数が同じでも、保存やプロフィール遷移が増えていれば、確実に前に進んでいます。

成果期(7ヶ月〜)

  • 指名検索数(社名・店名で検索された回数)
  • SNSからのサイト流入数
  • 問い合わせ・来店・購入の件数

ここでようやく事業の数字とつながります。指名検索は、Googleサーチコンソールで無料で確認できるので、早い段階から記録しておくといいです。

数字は「自社の平均」と比べる

業種や商材によって基準値がまったく違うので、他社の数字と比べてもあまり意味がありません。自社の直近10投稿の平均を基準にして、それを上回ったか下回ったかで判断するほうが、改善につながります。

媒体ごとの投稿本数の目安

一般的に言われている目安は次のとおりです。ただし、これは「続けられるなら」の話です。最初から上限を狙わず、確実に回せる本数から始めてください。

  • Instagram:リール週2〜3本、フィード週2〜4回、ストーリーズは毎日1〜3
  • TikTok:週3〜5本。検証が早く進むため、立ち上げ期は本数を出せると有利
  • X(旧Twitter):1日1〜5回。流速が速く、少ないと埋もれる
  • YouTube:長尺は週1〜2本、ショートは週2〜3本
  • Facebook:週2〜3回
  • LINE公式:月2〜4回。多いとブロックされやすい

注意点として、複数媒体を同時に始めるのはおすすめしません。まず1つに絞って型をつくり、そこから横展開したほうが、結果的に早く形になります。

どの媒体を選ぶかは、届けたい層がどこにいるかで決めます。10〜20代ならTikTokとInstagramのリール、30代以上でビジュアルが強い商材ならInstagram、情報の速さや専門性で勝負するならX、という整理が基本です。

続けるための体制づくり

内製でいちばん多い失敗が、担当者が疲弊して止まることです。次の3つを仕組みにしておくと、負荷が下がります。

  • 撮影日をまとめる:月1〜2日を撮影日にして、複数本分をまとめて撮る
  • 型を決める:反応の良かった構成をテンプレート化し、中身だけ差し替える
  • 一人に依存しない:出演者と編集者を分ける、最低2人体制にする

外部と組むという選択肢

社内で運用することと、外部と組むことは、どちらが優れているという話ではありません。体制や時期によって、合う形が変わります。次のような状態になったときは、外部を入れる選択肢も検討してみてください。

  • 3ヶ月続けたが、数字がまったく動かず原因も分からない
  • 担当者の負荷が高すぎて、本業に影響が出ている
  • 複数媒体を同時に立ち上げる必要がある
  • 編集や設計の部分だけ、時間がかかりすぎている

すべてを任せる形だけが選択肢ではありません。企画と撮影は社内、編集と設計は外部のように、それぞれが得意な部分を分担する組み方もあります。どこまでを社内で持つかは、体制と目的から決めるのが現実的です。

社内で運用する場合

メリットは、現場の素材をすぐ撮れること、反応をそのまま次の投稿や商品づくりに活かせること、続けるほど知見が社内に残ること。費用は人件費だけで済みます。

デメリットは、担当者の時間を確保しなければならないこと、編集や設計のスキルは経験のなかで身につけていくしかないこと、担当者が抜けると止まりやすいことです。

外部と組む場合

メリットは、設計や改善の経験を最初から使えること、立ち上げが早いこと、複数媒体を同時に動かせること、社内の工数を抑えられること。

デメリットは、費用がかかること、現場の素材は結局社内で用意する場面が多いこと、知見が社内に残りにくいこと、認識合わせに時間がかかることです。

どちらを選んでも、裏返しの部分を埋める工夫は必要になります。社内でやるなら設計の型をどう身につけるか、外部と組むなら知見をどう社内に残すか。そこまで含めて考えると、判断しやすくなります。

まとめ

社内でSNSを運用するときに決めるべきことは、目的・ターゲット・担当者の時間の3つ。追うべき数字は時期によって変わり、フォロワー数ではありません。

そして、いちばん大事なのは続けられる本数から始めることです。週5本を掲げて2ヶ月で止まるより、週2本を1年続けたアカウントのほうが、はるかに強くなります。

一覧へ戻る

Contact

現在の課題や予算感が固まっていない段階でも大丈夫です。まずは状況を伺い、必要な支援内容を整理します。

お問い合わせ